2008年11月23日日曜日

スミノフは孤独な男を慰める

愛。
愛は、むつかしい。
どれだけ相手を思っても
わたしが描く、あの子と
あの子が描く、あの子は違う
どれだけ強く抱きしめても
体と体は一つにはならない、なるはずがない。
過剰な気持ちは空回りをして宙に漂う浮遊物となる。
愛なんて幻想だ。
そう強い言葉ではき捨てたのは
凍てつく寒さが肌を刺す日本にいたときの僕
愛。
愛というものは不完全で
だからこそ美しい。
弱さをうちに秘め
形のない感情の強度を伝えるために人は
不完全である、言葉を用いる。
好意を行為で表現する。
愛は未熟児と同じで
はぐくむ事で二者の間に漂う感情を
結びつける。
だから
やっぱり
愛は美しい
そしてむつかしい。
少し肯定的に捉える自分を見つけられたのも
冬のヨーロッパに来てからのこと。
街に漂う寂寥感は
旅の旅情を奪い去り
自己をむき出しにする力がある。
まったく行きたくなかったヨーロッパだけど
別にたのしかない土地だけど
来てよかった。
季節が、街が、出会う人がたくさんのことに気づかせてくれる。
刺激をくれる。
(ともくんとはるな、有難う)
だからたまにはいいぢゃない、語るぼくがいたって。
でも、一つだけ言わせて
頭ではわかっているけど

そんなに見せ付けられると


なんか、あぁ、邪魔してごめんね。
ってなるじゃんか!
教会のてっぺんからきれいな街を見下ろすために
いいじゃないか!
男一人で並んだって!




俺も左側に回って肩組んでやろうかなという
気さえしてくる。


右腕の衝動を抑え、宿へと戻り









傷ついた旅人同士で、むなしく戯れる
(もちろんセルフタイマー)

ブラジル人の彼と日本人の僕。
言葉は交わさなくとも君が放つスマッシュにひめられた
気持ちはたしかに受け止めた。


つらいよな。
俺らに罪はないのに。

卓球って、楽しい。





夜の闇は深まり
一人BARへと向かう。

旅人たちが多く集う店だったらしく
にぎやかな宴。


最初は一人静かにカウンターの隅で飲んでいたけど
そんな飲み方は失礼なので輪に加わることに。




じゃんじゃん飲んで、
店を出て、
仲良くなったやつらの部屋で飲みなおし。

スミノフをあまたるいオレンジで割ったやつ
ガンガン飲んで
どんちゃん騒いで


踊って、



歌って。
目が覚めたのは深夜4時、便座の上だった。
みんなも寝ていたので
静かに部屋を出る。
さよならも、ありがとうも、またあおうもいわない
こういう一期一会もありだと思う。
夜の街は閑散としていて
月夜が明るい。
一つおおきなくしゃみをかまして
迷いながら宿へと戻り、そのままベッドに倒れこむ。

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